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東京地方裁判所 昭和63年(ワ)516号 判決

原告

今井武人

原告

今井康子

右両名訴訟代理人弁護士

矢野義宏

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被告

岩倉理雄

被告

岩倉弘毅

右両名訴訟代理人弁護士

高田理広

小海正勝

主文

一  被告らは、各自、原告今井武人に対し金一七六五万五〇一〇円及びこれに対する昭和六二年四月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を、原告今井康子に対し金二〇四〇万五〇一〇円及びこれに対する右同日から支払済みまで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。

二  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は、これを九分し、その五を被告らの、その余を原告らの各負担とする。

四  この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨(原告ら)

1  被告らは、各自、原告今井武人に対し金三一六〇万三〇一一円及びこれに対する昭和六二年四月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を、原告今井康子に対し、各自金三七一〇万三〇一一円及びこれに対する右同日から支払済みまで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁(被告ら)

1  原告らの請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因(原告ら)

1  当事者

被告らは、いずれも医師であり、共同して、肩書地に岩倉病院の名称で産科、婦人科の病院(以下本件病院という)を開設しているもの、原告らは、昭和六一年一二月六日に本件病院において出生し、同六二年三月三一日に死亡した訴外今井祐輔(以下祐輔という)の父母である。

2  分娩経過等

(一) 原告今井康子(以下原告康子という)は、昭和六一年、第一子として祐輔を懐胎し、同年四月一五日、本件病院においてその旨の診察を受け、以後、同病院において診察、出産指導を受けた。祐輔の出産予定日は同年一一月二五日であり、そのころまでの妊娠経過には異常がなかったが、右出産予定日には、原告康子は、未だ祐輔を出産するに至らなかった。

(二) 同年一二月四日、原告康子は、出産のため本件病院に入院し、陣痛室に収容された。陣痛室のベッドには枕元に呼び鈴が設置されており、これにより、原告康子は、陣痛室に看護婦等が不在の場合にも、看護婦詰所に待機している看護婦等に対し、陣痛室に来て必要な措置をとるように求める合図をなすことができる仕組みになっていた。

右入院当日、原告康子は、同病院内で分娩誘発の措置を受けた。

(三) 同年一二月五日午前九時ころ、原告康子は、二分ないし三分周期の陣痛を体験した。

なお、右陣痛に先立ち、原告康子は、ゴム嚢を子宮腔内に挿入する方法による分娩誘発、促進措置を受けており、右陣痛は右措置により生じたものであった。

(四) 同年一二月五日午後一一時ころ、原告康子は、激しい陣痛を感じた。その際、陣痛室には医師、看護婦等が不在であったため、原告康子が前記呼び鈴を押したところ、准看助産師一名が来室し、原告康子から事情を聞いた後、原告康子に対し、その子宮腔の状態を確認し、鎮痛剤を注射をしたうえ、異常があったら呼び鈴で看護婦等を呼ぶことなどを指示して、陣痛室を去った。

(五) 同年一二月六日午前一時ころ、原告康子は、より激しい陣痛を感じたが、その際も、陣痛室に医師等が不在であったため、原告康子は前記呼び鈴を押したところ、今回は何らの応答もなく、そのため、原告康子が大声で助けを求めても、なお、何らの応答もなかった。そうする間に、原告康子は、破水したが、なお呼び鈴や大声で助けを求めても何らの応答もなかったため、やむを得ず自力で看護婦詰所に行こうと考え、ベッドを下りたところ、同日午前一時二〇分ころ、突然に祐輔を出産して床に産み落とした(墜落分娩)。原告康子は、なお大声で助けを求めながら、へその緒でつながった祐輔とともに陣痛室を出て、消灯された廊下を経て看護婦詰所まで行った。

(六) 原告康子が看護婦詰所まで来て助けを求めたところ、同所には准看助産師がいたが、その准看助産師も原告康子の状態を見て驚き、当初は、適切な措置ができずに、原告康子との間で祐輔を押しつけ合う状態であった。

(七) 右(五)(六)の一連の経過の結果、祐輔の状態が悪くなり、同児は、同月六日午前四時ころ日赤病院に転送され、同病院で脳死状態と診察された後、同六二年三月三一日、死亡した。

なお、原告康子は、右(五)(六)の一連の経過の結果、同六一年一二月六日午前三時ころから意識不明の状態に陥ったが、その後回復し、同月一三日に本件病院を退院した。

3  責任原因

(一) 右2(二)の原告康子の本件病院入院に際し、原告らと被告らとの間に、原告康子及び祐輔の生命、身体の管理、分娩及びこれに伴う諸処置に関する診療契約が成立した。

(二) ところで、昭和六一年一二月五日から六日にかけての夜間に本件病院看護婦詰所に勤務していた看護婦等は、いずれも、本件病院の職員であって、右(一)の契約の履行につき被告らを補助していたものであり、かつ、被告らの事業のため被告らに使用されていたものであった。

そして、右職員らは、右のとおり被告らを補助し、被告らの事業を執行する職務の一環として、陣痛室と看護婦詰所との間の連絡に必要な設備(前記呼び鈴など)の操作に注意し、看護婦詰所においていつでも陣痛室内の妊婦からの連絡を受けることができるようにしておくとともに、陣痛室内の妊婦から連絡を受けた場合には、直ちに適切な措置をとるべき義務を負っていたにもかかわらず、これを怠った過失があり、その結果として右2(五)の事態が生じ、これにより同(七)のとおり祐輔が死亡するに至ったものである。

(三) したがって、被告らは、原告らに対し、右(一)の契約の履行補助者である右職員らの過失を原因とする債務不履行責任に基づき、また、被用者である右職員らの過失を原因とする使用者責任に基づき、右2(七)の結果生じた損害を賠償する責任を負う。

4  損害等

(一) 祐輔の受けた損害関係

(1) 逸失利益

金一五九六万〇〇二〇円

祐輔は昭和六一年生れで、死亡当時零歳の男子であり、本件事故により死亡することがなければ、満一八歳に達した一八年後から満六七歳に達する六七年後までの四九年間就労し、この間、全労働者の平均的収入を得られたはずであるから、昭和六一年度賃金センサスの産業計、企業規模計、男子労働者平均賃金の年間合計金四二二万八一〇〇円を基礎とし、その五〇パーセントを生活費として控除し、年五分の割合による中間利息をライプニッツ方式(係数7.5495)により控除して祐輔の死亡当時における逸失利益の額を計算すると、金一五九六万〇〇二〇円となる。

(計算式) 4,228,100×0.50×

7.5495=15,960,020

(2) 慰謝料(祐輔の精神的苦痛に対する)

金二〇〇〇万円

祐輔は被告ら各自に対し、右(1)(2)の合計額に相当する金三五九六万〇〇二〇円の損害賠償請求権を取得すべきであったところ、原告らは、祐輔の死亡により、右請求権を金一七九八万〇〇一〇円ずつ相続した。

(二) 原告ら固有の精神的苦痛に対する慰謝料

原告武人(以下原告武人という)につき

金一〇〇〇万円

原告康子につき 金一五〇〇万円

(三) 葬儀費用 金一〇〇万円

(各原告につき金五〇万円)

(四) 諸雑費(祐輔の入院に関して生じたもの) 金五〇万円

(各原告につき金二五万円)

(五) 弁護士費用(右(一)ないし(四)の合計額の一割に相当する金額)

原告武人につき 金二八七万三〇一一円

原告康子につき 金三三七万三〇〇一円

(六) 請求金額(右(一)ないし(五)合計)

原告武人につき 金三一六〇万三〇一一円

原告康子につき 金三七一〇万三〇〇一円

よって、原告らは、被告ら各自に対し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求権により、原告武人は金三一六〇万三〇一一円及びこれに対する損害発生(祐輔の死亡)の日の翌日である昭和六二年四月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を、同康子は金三七一〇万三〇〇一円及びこれに対する右同日から右割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める。

二  請求原因に対する認否(被告ら)

請求原因1の事実は認める。同2の事実のうち、(一)は認め、(二)も認め(ただし、陣痛室と看護婦詰所との間の連絡設備は、呼び鈴ではなく、その機能をも有するインターホーンであった)、(三)は前段を認め、後段を否認し、(四)は認め、(五)は不知、(六)は認め、(七)は、原告康子が昭和六一年一二月六日午前三時ころから意識不明の状態に陥ったとの点は否認し、その余を認める。同3のうち、(一)の事実は認め、(二)(三)は争う。同4は争う。

三  被告らの主張

本件における分娩経過等は次のとおりであり、本件病院職員には、原告ら主張の過失はない。

1  本件における分娩経過

(一) 本件病院入院後、分娩は順調に進行し、同月四日から五日にかけて、児心音は一二・一二・一二を維持し、子宮口は五日午前一〇時時点で二指まで開大していた。

(二) 同月六日には、午前〇時と一時に内診が行われており、午前〇時時点では、児心音は一二・一二・一二、子宮口は三指開大、また、午前一時時点では、児心音はやはり一二・一二・一二で、子宮口は四指まで開大しており、午前一時の内診後、鎮痛剤であるペチロルファンAの筋肉注射がなされた。

2  本件分娩当夜の看護体制

(一) 昭和六一年一二月五日から六日にかけての夜間、本件病院では、訴外人の当直医師が病院内に待機していたほか、看護婦詰所には、いずれも訴外人である看護婦一名(六二歳)、准看助産師二名(二三歳、二二歳)が待機していたところ、これら看護婦、准看助産師らの間における当夜の当番は、看護婦である一名であって、内診、心音等の看視等は主として同看護婦が行っていた。なお、本件病院では、看護婦等が夜間に仮眠をとることを許可していた。

(二) 本件分娩当時、看護婦詰所に待機中の右三名は、右2(三)のとおり午前一時の内診、注射が済んだため、仮眠をとっていたものである。

四  被告らの主張に対する認否(原告ら)

主張1の事実のうち、(一)は認め、(二)は不知(昭和六一年一二月六日の内診は、午前〇時に一回行われたのみである可能性が高い)。同2の事実のうち、(一)は前段は認め、後段は不知、(二)は、看護婦らが仮眠をとったのが午後一時の内診、注射後であったとの点は不知(前述のとおり、当夜の内診は午前一時には行われなかった可能性が高い)、その余は認める。

第三  証拠〈省略〉

理由

一請求原因1の事実(当事者)は、当事者間に争いがない。

二分娩経過等(請求原因2、被告らの主張1)について

請求原因2事実中、(一)、(二)(ただし、陣痛室と看護婦詰所との間の連絡設備の点を除く)、(三)前段、(四)、(六)、(七)(原告康子が昭和六一年一二月六日午前三時ころから意識不明の状態に陥ったとの点を除く)、被告の主張1の事実中、(一)は、いずれも当事者間に争いがない。

右争いのない事実に、〈証拠〉を総合すると、請求原因2(五)の事実をも認めることができ、また、〈証拠〉によれば、被告の主張1(二)の事実も、これを認めることができ、以上の認定に反する証拠はない。

これに対し、請求原因2(七)の事実中、原告康子が昭和六一年一二月六日午前三時ころから意識不明の状態に陥ったとの点につき検討するに、なるほど、〈証拠〉には、原告康子が「ボーッとした状態」に陥ったとの記載があり、これによれば、その時点において、康子に意識障害が生じたことを認めることができる。しかしながら、右の記載の趣旨は必ずしも明確ではなく、また、〈証拠〉にも当時の原告康子の意識状態に異常があった旨の記載がないことを照らすと、右意識障害が長時間継続したことは、これを認めることができない。

三責任原因等(請求原因2(二)後段、3、被告らの主張2)について

1  本件分娩当夜の看護体制

被告らの主張2(一)の事実のうち、前段は当事者間に争いがなく、後段は、〈証拠〉によりこれを認めることができ、右に反する証拠はない。また、同(二)の事実については、看護婦等が仮眠を取ったのが午前一時の内診、注射の後であったとの点を除き当事者間に争いがなく、右の点についても、前記のとおり認定できる被告の主張1(二)の事実に弁論の全趣旨を総合すると、これを認めることができ、これに反する証拠はない。

2  陣痛室と看護婦詰所との間の連絡設備等について

〈証拠〉によれば、本件当時、本件病院における陣痛室等と看護婦詰所との間の連絡設備の状況は、次のとおりであったと認めることができる。すなわち、本件病院には、陣痛室一室のほか病室約一〇室があること、陣痛室、各病室と看護婦詰所との間にはインターホーンの設備が設置されていること、右インターホーン設備は、看護婦詰所において操作されており、看護婦詰所では、インターホーンの設備を操作することにより、インターホーンの設備を待機の状態にしたり、あるいは、陣痛室又は病室の計約一〇室の中の任意の一室と看護婦詰所との間にインターホーン通話ができる状態にしたりすることができ、後者の状態にした場合には、インターホーンにより、当該一室と看護婦詰所との間に双方向の通話をすることができること、ただし、インターホーンにより看護婦詰所と通話できるようになる室は、一時に一室に限られていること、ところで、以上のインターホーンの設備を操作することは、看護婦詰所においてのみ可能であり、他の室たとえば陣痛室においては右設備を操作することはできないこと、その代わり、陣痛室、病室では、インターホーンを使用して看護婦詰所と会話をしたい場合には、インターホーンに付属する呼び鈴を用いて看護婦詰所側に合図を送り、この合図によって、看護婦詰所側に対し、インターホーンを作動させ、かつ、自室の設備を作動できるように操作するよう促すことができること、もっとも、この呼び鈴による合図は、インターホーンが待機の状態にある場合に限って看護婦詰所で受信することができ、看護婦詰所において設備を操作したことによって、他の病室と看護婦詰所との間でインターホーン通話ができる状態になっているときには受信できないこと、以上の事実を認めることができる。〈証拠判断略〉

以上の事実に、〈証拠〉を総合すると、本件分娩当夜、康子がベッドの呼び鈴を押したのにもかかわらず何らの応答もなかった原因としては、当夜、前記看護婦、准看護助産師らが看護婦詰所で当直勤務をしていたところ、その中の一名がインターホーンを操作して看護婦詰所と陣痛室以外の病室との通話ができる状態にしたが、これによって必要な通話を終えた後、インターホーンの設備を待機の状態に復帰することなく放置したため、本件分娩当夜、康子がベッドの呼び鈴を押した際には、本件病院のインターホーン設備は、陣痛室の呼び鈴の合図を看護婦詰所で受信することができない状態にあったことを推認することができ、これに反する証拠はない。

3  被告らの責任

右1、2によると、本件分娩の当夜、看護婦詰所で当直勤務中の者のうち、最後にインターホーンを操作したものについて、同人には、必要な通話を終えた後、インターホーンの設備を操作して待機の状態に復帰させ、看護婦詰所においていつでも陣痛室などからの呼び鈴による合図を受けることができる状態にしておくべき義務があったにもかかわらず、これを怠って、インターホーンを他の病室との通話ができる状態に放置した点において、不法行為法上の過失があったというべきである。

ところで、〈証拠〉を総合すると、本件分娩当夜、本件病院看護婦詰所に勤務していた看護婦等は、いずれも、本件病院の職員であって、被告らの事業のため被告らに使用されていたものであったこと、また、その中の一名による右過失は、被告の事業の執行につきなされたものであることを認めることができ、以上の認定を左右する証拠はない。

そうすると、本件においては、債務不履行の点を検討するまでもなく、被告らは、不法行為者の使用者責任に基づき、前記の過失によって生じた祐輔の死亡につき、これによる損害を賠償する責めに任ずるものというべきである。

四損害等(請求原因4)について

1  祐輔の受けた損害関係

(一)  〈証拠〉によれば、祐輔は昭和六一年生まれで、同六二年に死亡した当時満零歳の男子であり、本件事故により死亡しなければ、満一八歳に達した一八年後から満六七歳に達する六七年後までの四九年間就労し、この間、全労働者の平均的収入を得られたはずであることを認めることができるから、祐輔の死亡当時における逸失利益の額を計算すると、請求原因4(一)(1)のとおり、金一五九六万〇〇二〇円となる。

次に、祐輔の分娩から死亡に至る前記二2の経過に照らすと、本件により祐輔本人の受けた精神的苦痛を慰謝するには、金五〇〇万円をもって正当と認める。

そうすると、祐輔は被告ら各自に対し、右の合計額に相当する金二〇九六万〇〇二〇円の損害賠償請求権を取得すべきであった。

(二)  原告らは、右請求権を金一〇四八万〇〇一〇円ずつ相続した。

2  原告ら固有の精神的苦痛に対する慰謝料

祐輔が原告らの第一子であったことは当事者間に争いがないところ、このことや、祐輔の分娩から死亡に至る前記二2の経過(さらに、原告康子については、同原告が前記請求原因二2(五)のとおり陣痛室及び同所から看護婦詰所までの廊下において受けた精神的苦痛)に照らすと、本件事故により原告らが受けた固有の精神的苦痛を慰謝するには、原告武人につき金五〇〇万円、同康子につき金七五〇万円をもって正当と認める。

3  葬儀費用

〈証拠〉によれば、原告らは、祐輔の死亡により金一〇〇万円以上を支出したことが認められるところ、右のうち、金一〇〇万円(各原告につき金五〇万円)をもって本件と相当因果関係ある損害と認める。

4  諸雑費

〈証拠〉によれば、原告らは、祐輔の入院に関して相当額の金銭を支出したことが認められるところ、右のうち、金一四万円(各原告につき金七万円)をもって本件と相当因果関係ある損害と認める。

5  弁護士費用

〈証拠〉によれば、原告らは、本件訴訟の提起、追行を原告訴訟代理人両名に依頼し、両名に弁護士報酬の支払を約したことが認められるところ、右報酬中、原告武人につき金一六〇万五〇〇〇円、同康子につき金一八五万五〇〇〇円をもって本件と相当因果関係ある損害と認める。

6  以上1ないし5の合計額は、原告武人につき金一七六五万五〇一〇円、同康子につき金二〇四〇万五〇一〇円となる。

五結論

以上の次第で、原告らの請求は、被告ら各自に対し、原告武人が金一七六五万五〇一〇円及びこれに対する損害発生(祐輔の死亡)の日の翌日である昭和六二年四月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を、同康子は金二〇四〇万五〇一〇円及びこれに対する右同日から右割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める限度で理由があるのでこれらを認容し、その余はいずれも理由がないのでこれらを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条本文、九三条一項本文を、仮執行の宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官根本久 裁判官土屋靖之 裁判官金子直史)

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